遺族保障には、国民年金には遺族基礎年金、厚生年金には遺族厚生年金があります。
遺族基礎年金の場合は、子供(18歳未満)がいる場合、つまり母子家庭か孤児だけの場合
にのみ遺族年金が支給されます。
年金額は、母と子1人の場合、年額804,200円(月額6万7,017円 = 平成12年度)で、あとの
子供の数に応じた加算があります。
遺族厚生年金を受給できるのは18才未満の子のある妻、18才未満の子供のない妻、55才以上
の夫、父母、祖父母などです。受給を受ける優先順位は配偶者、父母、孫、祖父母の順です。
遺族厚生年金を受給する場合には、死亡した人の勤務先を受け持つ社会保険事務所に相談し、
裁定請求を行って下さい。
1.遺族基礎年金
37条[支給要件]
遺族基礎年金は、被保険者又は被保険者であった者が、次の各号のいずれかに該当す
る場合に、その者の妻又は子に支給する。(中略)
1.被保険者が、死亡したとき。
2.被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上
65歳未満であるものが、死亡したとき。
3.老齢基礎年金の受給権者が、死亡したとき。
4.第26条ただし書に該当しないものが、死亡したとき。
第37条の2[遺族の範囲]
遺族基礎年金を受けることができる妻又は子は、被保険者又は被保険者であった者の妻
又は子であって、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時、その者によって生計
を維持し、かつ、次に掲げる要件に該当したものとする。
1.妻については、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時、その者に
よって生計を維持し、かつ、次号に掲げる要件に該当する子と生計を同じく
すること。
2.子については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか又は
20歳未満であつて障害等級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻を
していないこと。
第38条[年金額]
遺族基礎年金の額は、80万4,200円とする。(平成12年度)
第39条[年金額]
*妻に支給する遺族基礎年金の額
基本額は80万4,200円(月額6万7,017円 =平成12年度)。これに子の数によって加算額
がつき、子が2人までは一人につき年額23万1,400円、3人以上の場合には3人目から1人
につき年額7万7,100円となっている。 (平成12年度)
(3) 妻に支給する遺族基礎年金については、第1項に規定する子が2人以上ある場合で
あって、その子のうち1人を除いた子の1人又は2人以上が次の各号のいずれかに該当
するに至ったときは、その該当するに至った日の属する月の翌月から、その該当するに
至った子の数に応じて、年金額を改定する。
1.死亡したとき。
2.婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。
以下同じ。)をしたとき。
3.妻以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情に
ある者を含む。以下同じ。)となったとき。
4.離縁によって、死亡した被保倹者又は被保倹者であった者の子でなくなったとき。
5.妻と生活を同じくしなくなったとき。
6.18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき。ただし、障害等級に該当
する障害の状態にあるときを除く。
7.障害等級に該当する障害の状態にある子について、その事情がやんだとき。
ただし、ただし、その子が18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間に
あるときを除く。
8.20歳に達したとき。
子に支給する遺族基礎年金の額
80万4,200円を基本額とし、子が一人のときはその額、2人以上の場合は23万1,400円、3人
以上のときは一人増すごとに7万7,100円を基本額に加算し、それを子供の数で割った額が
支払われます。
第40条[失権]
(1) 遺族基礎年金の受給権は、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、
消滅する。
1.死亡したとき。
2.婚姻をしたとき。
3.養子となったとき。
第41条[支袷停止]
(1) 遺族基礎年金は、当該被保険者又は被保倹者であった者の死亡について、労働基準
法の規定による遺族補償が行われるべきものであるときは、死亡日から6年間、
その支給を停止する。
(2) 子に対する遺族基礎年金は、妻が遺族基礎年金の受給権を有するとき、又は生計を
同じくするその子の父もしくは母があるときは、その間、その支給を停止する。
2.遺族厚生年金
第58条[受給権者]
遺族厚生年金は、被保険者又は被保険者であった者が次の各号のいずれかに該当する
場合に、その者の遺族に支給する。
1.被保険者(失綜の宣告を受けた被保険者であった者であって、行方不明となった当時
被保険者であったものを含む)が、死亡したとき。
2.被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初
診日がある傷病により当該初診日から起算して5年を経過する日前に死亡したとき。
3.障害等級の1級又は2級に該当する廃疾の状態にある障害厚生年金の受給権者が、
死亡したとき。
第59条[遺族]
(1)遺族厚生年金を受けることができる遺族は、被保険者又は被保険者であった者の配偶
者、子、父母、孫又は祖父母(以下単に「配偶者」、「子」、「父母」、「孫」又は
「祖父母」という)であって、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時、その
者によって生計を維持したものとする。ただし、妻以外の者にあっては、次に掲げる
要件に該当した場合に限るものとする。
1.夫、父母又は祖父母については、55歳以上であること。
2.子又は孫については、18歳未満であるか、又は20歳未満で障害等級の1級もし
くは2級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと。
(2)前項の規定にかかわらず、父母は、配偶者又は子が、孫は、配偶者、子又は父母が、
祖父母は、配偶者、子、父母又は孫が遺族厚生年金の受給権を取得したときは、それ
ぞれ遺族厚生年金を受けることができる遺族としない。
第59条の2[死亡の推定]
船舶が沈没し、転覆し、滅失し、もしくは行方不明となった際、現にその船舶に乗っていた
被保険者もしくは被保険者であった者もしくは船舶に乗っていてその船舶の航行中に行方
不明となった被保険者もしくは被保険者であった者の生死が3月間わからない場合、又は
これらの者の死亡が3月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期がわからない場合には、
遺族厚生年金の支給に関する規定の適用については、その船舶が沈没し、転覆し、滅失し、
もしくは行方不明となった日又はその者が行方不明となった日に、その者は、死亡したもの
と推定する。(以下略)
第60条[年金額]
遺族厚生年金の額は、第42条の規定の例により計算した額の4分の2に相当する額とする。
この場合において、第58条第1項第1号から第2号までのいずれかに該当することにより
支給される遺族厚生年金については、その額の計算の基礎のとなる被保険者期間の月数が
300に満たないときは、これを300とする。
第62条
遺族厚生年金の受給権者である妻であって、その権利を取得した当時35歳以上65歳未
満であったもの又は35歳に達した当時、当該被保険者もしくは被保険者であった者の子
で、国民年金法第37条の2第1項に規定する要件に該当と生計を同じくしていたものが40
歳以上65歳未満であるときは、第60条の遺族厚生年金の額に55万2900円(月額46075
円=平成5年)を加算する。
第63条[失権]
(1)遺族厚生年金の受給権は、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至ったとき
は、消滅する。
1.死亡したとき。
2.婚姻をしたとき。
3.直系血族及び直系婚族以外の者の養子となったとき。