最近、身内が亡くなって葬儀費用がないため、山林に埋葬して死体遺棄罪で逮捕されてし
まったニュースが報道されていますが、葬儀費用がねん出できない方のための制度があります。
前記のようにならないように生活にお困りのとき(生活保護を受けている方等)は、葬祭扶助
が適用されますので、お近くの福祉事務所へご相談下さい。
港区の場合は区役所の各支所の生活福祉係か民生委員にご相談下さい。 「生活保護法」
によって、国は生活に困窮するすべての国民に対し、必要な保護を行なうことになっています。
保護の種類として、生活扶助や医療扶助の外、葬祭扶助も必要において行なうことになっています。
この保護に該当する人は、扶養義務者又はその他の同居の親族の申請にもとづいて開始
することになっていますが、保護を必要とする者が急迫した状況にあるときは、保護の申請
がなくても、必要な保護を行なうことができるとされています。
葬祭扶助の実際
まず、福祉事務所の担当ケースワーカーや民生委員(港区は各支所の福祉係)と葬儀
(火葬)について話し合ってください。
自分で葬儀するのか、生活保護費で葬儀をしてもらうのかを決めます。
生活保護を受けている世帯で自分も生活保護を受けている人は自分の親が亡くなられた
場合、葬祭扶助が受けられますが、生活保護を受けられている方が亡くなっても、葬儀をさ
れる方(喪主)の世帯が別で生活に困っているわけではないときは、当然ですが受けられま
せん。普通のお葬式をすることになります。(23区内に住んでいると区民葬儀が利用できます)
福祉事務所では、単身世帯の受給者が亡くなった場合で、他の場所で生活している親族が
葬祭をしない場合は、生活保護費で火葬をします。生活保護受給者の費用負担は有りません。
遺骨を引き取る事はできます。(遺族が引き取るのが基本です)
葬祭扶助でできる葬儀はとても質素なもので、実際には仏様を棺に納めて火葬場で火葬
するだけの葬儀です。
お坊さんも来ませんし、したがって戒名などもつきません。遺骨は骨壷に入り、木の箱に入
れられ、白い覆いに入れられて渡されます。(持ち帰りのために大きめの風呂敷を用意して
おくとよいでしょう)
生前に、亡くなった場合のことを担当の福祉係かケースワーカーと話し合っておくとなお良
いと思います。
次に、火葬が済んだ後の遺骨のこと。墓地がある場合はそこに納骨できますが、新たに墓地
を購入するのには多額の費用がかかりますので、実際には比較的安い費用で納骨できる多
摩霊園など公営の霊園の納骨堂を利用する方法か、海などに散骨する事になります。公営の
納骨堂などは申込者が多数なので、当選する迄長期間かかりますので、それまで自宅で保
管しなければなりません。
生活保護法
第18条[葬祭扶助]
(1)葬祭扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、下記
に掲げる事項の範囲内において行なわれる。
1.検案
2.死体の運搬
3.火葬又は埋葬
4.納骨その他葬祭のために必要なもの
(2)以下に掲げる場合において、その葬祭を行なう者があるときは、その者に対して、前
項各号の葬祭扶助を行なうことができる。
1.被保護者が死亡した場合において、その者の葬祭を行なう扶養義務者がないとき。
2.死者に対しその葬祭を行なう扶養義務者がない場合において、その遺留した金品で、
葬祭を行なうに必要な費用を満たすことができないとき。
第20条[指揮及び監督機関]
この法律の施行について、厚生大臣は都道府県知事及び市町村長を、都道府県知事
は市町村長を、指揮監督する。
都道府県知事は、この法律に定めるその職権の一部を、その管理に属する行政庁に
委任することができる。
第21条[補助機関]
社会福祉事業法に定める社会福祉主事は、この法律の施行について、都道府県知事又は
市町村長の事務の執行を補助するものとする。
第22条[民生委員の協力]
民生委員法に定める民生委員は、この法律の施行について、市長村長、福祉事務所長又は
社会福祉主事の事務の執行に協力するものとする。
第37条[葬祭扶助の方法]
(1)葬祭扶助は、金銭給付によって行なうものとする。但し、これによることができないとき、
これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、
現物給付によって行なうことができる。
(2)葬祭扶助のための保護金品は、葬祭を行なう者に対して交付するものとする。
第76条[遺留金品の処分]
(1)第18条第2項の規定により葬祭扶助を行なう場合においては、保護の実施機関は、
その死者の遺留の金銭及び有価証券を保護費に充て、なお足りないときは、遺留
の物品を売却してその代金をこれに充てることができる。
(2)都道府県又は市町村は、前項の費用について、その遺留の物品の上に他の債権者
の先取特権に対して優先権を有する。